「もう過去は手放しましょう」
「その怒りは手放したほうがいいよ」
「その人間関係、手放すときかもね」
こんなふうに、「手放す」という言葉を耳にすることがあります。
私自身も、そう言われた時期がありました。
でもね、
心の中ではずっとこう思っていたんです。
「手放したいけど、手放せないんです…」
本当にこんな想いはもうイヤ。
苦しいし、しんどいし、できることなら早く忘れたい。
なのに-手放せない。
そんなふうにモヤモヤしていたとき、こんな話を聴きました。
「本当に手放したいものなら、人はすぐに手放せるはずです。
あなたがそれを手放せないのは、心の奥底で“本当は手放したくない”って思ってるからなんですよ。」
………そのときは、少しショックでした。そんなはずない!こんなにイヤだし!って。
でも、後になって深く納得できたんです。
続きに、こんなたとえ話を聴かせてくれました。
たとえば、あなたがうっかり犬のフンを手で握ってしまったとしたら、
「わっ!イヤだ!」って、ほぼ反射的にすぐに手を離すでしょ?
あれこれ考える間もなく、すぐに、当たり前のように。
つまり-
「手放したいと思っているのに、なかなか手放せない」
のは、その想いをまだ自分で握りしめて手放したくないってこと。
あるいは、手放さないことで得ている“何か”があるってこと。
たとえば…
・つらさを抱えていることで、誰かに「大丈夫?」と気にかけてもらえる。
・「しんどい」と言うことで、やらなくてすむことがある。
・過去を手放すことで、自分が間違っていたと認めるのが怖い。
そんなふうに、手放さないことが、自分でも気づかない「メリット」となっていることもあるんです。
私はこの話、ものすごく腑に落ちたんです。
本当にイヤなことなら、あれこれ言わずにさっと手放すはず。
(私には、犬のフンの話がとってもわかりやすかった!(笑))
なのに、そうできないとき-
なぜ私はこれを手放せないんだろう?
これを手放さないことで、私は何を得てるんだろう?
そんなふうに、自分に問いかけてみるといいかもしれません。
その“理由”が見えてくると、
不思議なくらい、すっと手放せることがあります。
焦らなくても大丈夫。
自分の心に正直に、やさしく聴いてみてくださいね。